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♦2021/01/12

着物のある情景 ~睦月・1月~

着衣始(きそはじめ)の愉しみ

「あけましておめでとうございます」「今年もどうぞよろしく」。この挨拶を 交せば、なぜかスッキリと気分が改まり、誰もが清々しく新しい年をスタートで きるのが日本のお正月です。大晦日には「来年こそは」と思い、元旦には「今年 こそは」と夢ふくらませる…、たった一日の違いとはいえ、新春の朝は晴れやか な気持ちで胸いっぱいになる人も多いのではないでしょうか。
さて、そんな気持ちにぴったりくるのは、やはり「晴れ着」。俳句の季語には 「春着」という言葉もあるぐらいですから、新春の着物は、シックな色合いより も春らしくやさしい色が気分にマッチするものです。また、暮れにはちょっと 寒々しいと感じていた「白」も、新春ともなると清らかさと上品さの象徴のよう に感じられるから不思議なものです。襟元や足袋はもちろん、帯締めなどにもき っぱりと美しい白を使うことで、新しい年を迎えた歓びといいますか、華やぎを 感じるわけです。
昔は、女性にとって正月の晴れ着を用意することは大きな楽しみであったとい います。もちろん、いつも新しい着物をあつらえたわけではないでしょうが、そ れでも洗い張りをしたり、下着や草履などの小物類もパッと真新しいものに変え るなど、想像しただけでも気持ちの良い準備の時間です。それに加えて、今まで よそいきだったものを、正月を境に普段着におろしたりして…。昔は着衣始(き そはじめ)といって、お正月に新衣を着始める、という意味の言葉を使い、一 方、師走の着古しのことを「暮れボロ」と言ったとか。
さてさて、平成の私たち。せっかくの初詣も、つい面倒臭がって、いつもと同 じカジュアルな服装で出かけてしまいがちです。せめて「暮れボロ」のまま初詣 をするのは考え直したいもの。昔の人の暮らしの言葉に秘められたお正月への期 待感を今一度見習って、楽しみたいような気がします。

(エッセイ・羽渕千恵/イラストレーション・谷口土史子)

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